コレクション: 民藝 (Mingei)

民藝とは、「民衆的工芸」を意味し、名もなき職人たちが日常生活のために作り出してきた実用品を指します。陶芸、染織、漆工、木工、籠、金工などの作品は、地域ごとの素材と受け継がれた技法を用い、村や土地に根ざした工房で生み出されてきました。そこには、日々の暮らしの中で自然に現れる、気負いのない静かな美が宿っています。その造形は、用に即した合理性、簡素さ、そして誠実な手仕事から生まれる確かな品格を映し出しています。

20世紀初頭には、柳宗悦、濱田庄司、河井寛次郎らの思想家・作家によって、これらの価値観が「民藝運動」として体系化されました。民藝運動は、自然素材、地域性、手仕事の誠実さ、そして無名性の中にある美を重んじ、工業化が進む時代において、手仕事を重要な文化的表現として位置づけました。工芸の伝統を守り、日常の中にある控えめな美を見出すことが、その思想の核となっています。

一方で、民藝という言葉は、意図的に制作された工芸作品や民藝運動に限らず、長年の使用や風化、繰り返された修理によって美を獲得した日用品全般を指して用いられることもあります。風合いを増した木材、繕われた布、再利用された鉄、世代を超えて触れられてきた石や台座などは、意図された「作品」ではありませんが、時間と必要性によって立ち現れた静かな尊厳を備えています。そこに刻まれたのは、時間、労働、工夫の痕跡であり、摩耗や修繕、使い続ける行為そのものが生み出す、別種の職人性とも言える詩情です。今日では、こうしたものもまた、民藝が持つ誠実さ、不完全さ、地域性を体現する素材として、収集家や作家、美術館から注目されています。

これら多様な民藝の表現は、豪奢さや作者性ではなく、素材の尊厳、日々の暮らしのリズム、そして作り、直し、受け継ごうとする人間の根源的な営みの中にこそ、美が宿ることを私たちに教えてくれます。

Mingei

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