Wajima Lacquer Bowl Set From the Takahashi family personal collection ー橘屋 友七

江戸時代後期に作られた 橘屋 浅野 友七による漆塗りの蓋付き椀5客を収めた豪華なセットです。金彩で繊細な文様をあしらった椀は銘木箱に収められており、それぞれの椀に専用の仕切りが設けられています。内側は華やかな赤色で、渦巻き模様の格子細工と縁起の良い目盛りが交互に施されています。外側の格子細工と鱗文には、漢字の帯の上に旅の風景を描いた窓が開けられています。懐石料理に最適なこの椀と蓋は布袋に収められており、「橘屋煮物椀」と書かれています。サイズは直径14cm、高さ10cmで 状態は良好です。

橘屋友七は 京都の著名な漆器職人：長野横笛の跡を継いだ人物で、横笛は漆器店「橘屋」を創業しました。二代目の代で事業は繁栄しましたが、三代目が早逝したため屋号は横笛の弟子である浅野 友七に継承されました。彼の生没年は定かではありませんが（1860年に亡くなったとする説や、1872年と1878年の京都博覧会の記録に「浅野友七博覧会会社」の記載があり、浅野宗七や浅野孫七の名も見られます）、横笛の弟子であった初代友七は江戸時代末期に亡くなり、その子孫あるいは親族が事業を継承したと考えられます。ミホミュージアム所蔵の松竹梅で装飾された優美な重箱など、橘屋ゆかりの漆器は長野横笛から受け継がれた洗練されたスタイルを反映しており、堅い蝋色の漆と絶妙なバランスの蒔絵装飾は展示にも実用にも適しています。