Quintessential Vase by LNT ー清水 卯一 “鉄釉 花瓶”
Quintessential Vase by LNT ー清水 卯一 “鉄釉 花瓶”
Item Code: MC542
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人間国宝・清水 卯一による 鉄釉の壺です。共箱には「鉄釉 花瓶」と記されています。豊かな赤橙色の柿色から黒い斑点が立ち上がる本作は、シンプルな丸みを帯びたフォルムが釉薬の動きと変化を際立たせる見事な背景となっています。狭い高台からゆったりと膨らんだ胴は口縁に向かって引き締まり、こぢんまりとした根源的な存在感を放っています。この端正な形とは裏腹に表面は極めて躍動的です。下部は赤褐色から赤黒い柿色までの温かみのある色調に包まれ、肩から上は艶やかな鉄黒へと急激に色が変化します。二つの領域は明確な境界を成すのではなく、黒が斑点状や枝分かれした模様となって赤の中に流れ込み、黒い釉薬の中には無数の黄土色や黄金色の斑点が浮かび上がります。口縁付近ではこうした模様が密に重なり合い艶やかな黒い表面を不規則な星雲のように彩ります。近くで見ると、単なる赤と黒の境界に見えたものは驚くほど複雑な表情を見せます。色が互いに滲み出し、小さな突起が表面を中断させ、細かい暗色の模様が赤褐色の釉薬の中を漂います。胴の下方には灰黒色の筋が不規則な軌跡を描いており、焼成の偶然が生み出したこの模様が、抽象的な表面にまるで風景画のような趣を添えています。本作は彼が「鉄釉」という一見単純な言葉に込めた、驚くほど幅広い表現力を証明しています。ここでは鉄は単一の色ではなく、鮮やかな赤橙色から黄土色、茶色、そして絶対的な黒へと至るスペクトルを生み出しています。窯の中でこれらの色が分離し、重なり、変化することを許容する清水の技法は、焼成の過程そのものを器の表面に可視化しています。規律あるシンプルな造形は、この活発な変化に対する対比として機能しており、器そのものは静謐でありながら、その肌には炎の荒々しさが刻まれています。直径20.5cm、高さ23cmで状態は極めて良好です。前所有者により 共箱の蓋に「M-5」と書き込みがあります。
人間国宝の清水 卯一 (1926-2004)は 京都の陶磁器商の息子として生まれました。家業を捨て、後の人間国宝である石黒 宗麿に師事し、塑形美術の修行を積みました。彼の作品は 師の様式における主要な要素を保ちつつも、控えめな優雅さと 同時代では珍しいアヴァンギャルドな挑戦精神を取り入れています。1951年の日展で初出品し、それ以来数々の賞を受賞しています。また、プラハ国際展覧会では金メダルを獲得し、ブリュッセル万国博覧会にも出品しました。東京国立博物館、京都国立近代美術館、クラーク財団、フリーア美術館など、多くの機関に作品が所蔵されています。
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