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Ida Shoichi

Mixed Media, 1986 ー井田 照一 “Two Elements in Corner of Garden-Love”

Mixed Media, 1986 ー井田 照一 “Two Elements in Corner of Garden-Love”

Item Code: K376

通常価格 ¥291,200 JPY
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井田 照一によるこの作品は、1986年に製作され裏面に署名があります。白く塗られた木製パネルに立てられた「庭」の境界を越えて、小枝、種、石、澄んだ青いしずくが象嵌され 様々な織物と泥染めの紙が地になっています。裏面には作家のオリジナルの印章があり、「Two Element in Corner of Garden- Love」と題されています。2つ目の印章はニューヨークのホリー・ソロモン・ギャラリーのものです。パネルのサイズは77 x 59 x 5.5 cmです。白い塗料にわずかな扱い跡がありますが、その他は優れた状態で、オリジナルの布製収納ケースに収められています。

この庭シリーズの作品は、京都市京セラ美術館で開催されてた回顧展「没後20年 井田 照一 ―現代美術に息づく版表現」に展示されていました。京セラに美術館よると、井田 照一 (1941-2006)は版画の表現可能性を再定義した日本の主要な版画家であり現代美術家でした。京都市立芸術大学で油絵を修了後、パリとニューヨークで経験を積み京都で国際的に認められる活動を確立しました。紙、布、陶器など多様な素材を用い、「Surface is the Between」という概念に基づき物質とイメージ、内と外が交差し関係を生み出す場所としての表面を再考しました。彼の没後20年を記念したこの展覧会では、飯田の版画作品と境界空間としての表面という彼の概念を3次元に拡張した作品が紹介されていました。

井田 照一 (1941–2006)は 生まれ育った京都市を拠点に、国内外で活躍した日本を代表する版画家の一人でした。1960年に京都市立日吉ヶ丘高等学校 美術工芸課程 洋画科を卒業後、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)に入学。そこで引き続き洋画科で油絵を学びましたが、幼い頃から魅了されていた自然の力と存在感を十分に表現する上で、絵画の限界を徐々に感じるようになりました。この問題を解決する手段として彼が出会ったのが版画でした。当時 同大学では1960年に彫刻家の辻晉堂のもとで木版画とエッチングの授業が導入され、1963年からは吉原英雄と古野芳雄が洋画科の講師に任命され集中的な版画指導が行われていました。このような環境に身を置く中で、井田はやがてリトグラフの技術を独学で習得し版画家としてのキャリアを築き始めました。
個々性、身体性、感情を強調する具体美術協会に代表される当時の主流とは対照的に、井田は画家の手跡や感情を排除しようとしました。その代わりに明るい色彩と鮮明なフォルムを特徴とするリトグラフを制作し、東京国際版画ビエンナーレなどの展覧会に注目され招待されました。1960年代後半から1970年代初頭は日本の現代版画のいわゆる黄金時代であり、井田の初期作品はこの文脈において重要な意味を持っています。後に彼はシルクスクリーン技術を取り入れ、その作品は明確なポップアート的な感性を帯びるようになりました。しかし、1969年から1970年にかけてのパリ滞在中、カール・アンドレや作曲家ジョン・ケージといった人物との出会いを経て、彼の活動は版画の枠を超えより実験的な領域へと拡大していきました。版画とインスタレーションを融合させた《Conception》(1974)や、わずか2枚の版から50もの異なるイメージが印刷された《The Spy Surrounds the Spy》(1974) のような作品はオリジナリティと複製性、ひいては版画そのものとは何かという根本的な問いに対する井田の応答と理解することができます。
これらの探求から1970年代半ばには彼の決定的な概念「Surface is the Between」が生まれました。これは版画におけるイメージが紙と版の間の間隔に生じるという考えを表現するもので、彼の批評的評価を確立しました。《Surface is the Between —Between Vertical and Horizon—Descended Triangle–Circle》(1987)では従来の版画技法だけでなく、酸を版に直接注いだり筆で塗ったりするスピットバイトアクアティントの技法も用いました。このプロセスを通じて彼は自然の力が素材に作用する痕跡を鮮やかに詳細に記録しました。垂直に落とされた酸が水平に広がるように、井田は表面を垂直と水平の接点、つまり時間と空間が交差する場所と捉えました。このようにして版画のプロセスを通して間接的に、絵画における直接的な描写ではなし得なかった自然の存在感の表現を達成しました。版画の枠を超え、陶芸、ブロンズ、紙パルプなど幅広い素材を扱い、晩年までその活動領域を常に拡大していきました。彼の功績が現代版画の従来の境界をはるかに超えていることは言うまでもありません。

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